読書の秋

夏の間、短くなっていた散歩の距離が少しずつ伸びてきた。 途中、立ち止まって深呼吸すると、秋色の澄んだ空気が肺のすみずみまでゆき渡るのを感じる。 愛犬の足取りも軽い。

夕方の散歩に早く出られるようになったので、食後、寝る前の時間がゆったり取れるようになった。 読書の秋が始まった。

本好きの友人が読んだ本の感想を色々と聞かせてくれたり、お勧めを教えてくれたりする。 書店に出かけ、あれこれ迷いながら、やっと何冊かを選び出して家に戻り・・・ 読み始めて、すぅっとその本に入ってゆけた時は、“正解!”と思う。愛犬は傍に伏せて、読書のお供もかって出てくれる。

先日、読み終えた1冊は、古い友人の一押しのものだった。 彼女との出会いは、20年も前、犬を通じて・・・

“彼の本は、自然の厳しさや優しさがたっぷり含まれた文章ばかりです。 人間も自然の一部であること、自然の生き物は、いつも命がけで一生懸命生きていることが彼の本から教えられます。私は北海道で森の中に入ったり、登山をしてみると、あまりにも自然は雄大で優しく感じたり、時に恐ろしくも感じます。 そんな雄大な景色や動物との出会いも、2度同じ時はなく、その時こそが大切で、一時一時が大切なのです。・・・・”

彼女の熱いお勧めメッセージを読んで、私はその作家の本を2冊手に取っていた。 彼の言葉はどこまでも優しく、彼という人間そのものを表しているようだった。アラスカに暮らし、エスキモーやインディアンの村を訪ね、そこで生活する人々と心を通わせ、彼らのことを語るその言葉からは仏教思想の香りも漂う。が、それは“人の原型”が結局、奥底でひとつところに繋がっているものだからなのかもしれない。

人も犬も、動物・・・そして、自然の一部・・・ 大きな自然の中で、各々の旅を続ける。

その昔、太平洋の島々をカヌーで渡った民も海をゆく時、目的地はあっても時として、風や潮の流れに任せて進まなければならないこともあったという。 遠回りに思えることも、そこには何かしらの意味があるものだったりする。

彼の本の中に、明日、世界が終わりになろうとも、私は今日、1本のりんごの木を植えるというような話が出てくる。 彼は、りんごの木を植え続けた人だ。 若くして亡くなった彼の言葉のひとつひとつが大きなメッセージを私に運んでくれた。

私は今日・・・ 出会う犬を笑顔で抱きしめてやりたい。

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